ものつくり研究所の1・2月のプログラムは、
「お手玉を作る」。
だけど最初から針と糸と布が用意されるのではないのが
もの研のミッションなのです。
●1回目「おもさについてかんがえよう」
ちいさいペットボトルを用意しました。
子どもたちに「これにお水はどれくらいの量はいる?」と質問。
単位を含め、
高学年の子はすぐにわかりますが、
低学年の子は「500ミリリットル」と答えられませんでした。
では、高学年の子に質問。
「500ミリリットルは、何リットル?」
これは1リットルが何ミリリットルかを知っていなければ答えられません。
さらに「500ミリリットルは、何デシリットル?」
これも1リットルが何デシリットルかを知らなければ答えられません。
「では、500ミリリットルのお水は何グラム?」
水の場合、かさと重さが一致します。
ここでも単位をきちんと確認します。
理屈だけでは知識が定着しないので、
実際に水が入ったペットボトルを量りました。
つぎに、1円玉の重さについて質問。
「1円玉の重さはどれくらいか知ってる?」
1学期にお金の勉強をしたので、みんな「1グラム」と答えました。
「じゃあ10枚で何グラム?」「10グラムー!」
「10円で10グラムだねー」
↑ここが肝心!(笑)
講師は10円玉を取り出します。
「10円、何グラム?」
子どもたち、得意顔で「10グラムーーー!!」と答えます。
(高学年の子はニヤニヤしていますが)
そこで10円玉を量ってみると、4.5グラムでした。
金額と重さが同じではなく、
1円玉にかぎって1グラムなのだと気が付きました。
子どもってかわいいですね。
つぎに500mlのペットボトルから、紙コップに100mlを注ぎ分けるよう指示します。
子どもたちは、横から水の量を確認しながら
「5分の1がこの辺だから、ここまで」
といいながら水を注いだり戻したり。
最後にはかりで量って確認しました。
さらに、40グラムのお水をコップにいれるように指示。
これはなかなか難しいです。
ヒントとして、1円玉を40枚入れたコップを与え、
これと同じ重さになるように目測させました。
ところが、「これくらいかな?」と思う量は、実際量ると大幅にちがうグループが多い。
40グラムの水が入ったコップを全員で持ってみて、
重さを体感します。
もう一度同じ重さの1円玉のコップを持たせます。
子どもたちは「お金のほうが重い」といいます。
そこで、みんなでなぜかをはなしあってみると
「お金のほうが重そうに見えるから」という意見。
見た目で判断してしまうことに気が付きました。
すごい発見です。
最後に40グラムのお水を参考にしながら、
ペレットを40グラム量りました。

ひとり3袋量るのですが、1回目は多かったり少なかったりしたのに
なぜか3回目は40グラム僅差を量れるようになっています。
寿司職人がしゃりを毎回同じ重さに手にとれる、あの感覚、
まさに「体が重さを覚える」ってことなのでしょう。
●2回目「四角い布から俵型をつくるには?」
グループに1枚布を渡します。
これを俵型にするには、どのように縫い合わせるかを話し合い。

そもそも「俵型」っていうのが今の小学生にはなじみがなく
「たまいれの玉」というとわかるみたいです。
すぐに答えが出るかと思いきや、
なかなか思いつかないようで、かなり悩んでいました。
横を縫い合わせて筒状にするところまでなんとかたどり着き、
そのあと口をどうやって閉じるかが問題。
「きんちゃく袋」というヒントをだしましたが、
「きんちゃくって何?」と聞かれてしまいました…
ここは「給食袋」というべきでした(ジェネレーションギャップを感じます・・・)
布を合わせて縫ったのでは、平らになってしまい筒になりません。
ではどうする?
しばらく布をあれこれとさわり、ようやく
「わかった!周りをぐるっと縫って絞ればいいんだ!」
と気が付きました。
それから中身を詰めて、あとは口を閉じる方法。
「ぐるっとまわりを縫って、ぎゅっとする」
そうね、そこまではいいけどね。
そうしたら縫い代が上に出ちゃって、パイナップルになっちゃうよ?
子どもたち、「え~・・・」とまた悩みます。
「袋の中から縫う」 え~、それじゃ手はどこからいれるの?
「先に縫ってから裏返す」 それって、裏返らないじゃん!(笑)
しばらくして、「これをなかにいれちゃえばいいんだよね・・・」と縫い代を突っ込んだ子が!
そうそう!縫い代を突っ込むのです。
ぐるっと縫って、縫い代を中に織り込んで、絞る。
講師がデモンストレーションしてみせると
子どもたちから歓声と拍手が沸き起こりました!!!
●3回目「布に柄をデザインする」
ひとり3枚ずつ白布を配り、油性ペンで柄を書き入れます。

俵型になることを考え、
横の合わせ目、上下の絞りを計算しながら
どこにメインの柄を書くかを決めます。
●4回目「玉むすび・玉止めに挑戦」
これがなかなか難しいんです。

なんどもなんども、講師の手元を見ながらやってみます。
でも自分でやるとなぜかうまくできない。
それでもあきらめず、一生懸命練習しています。
高学年の子は、自分ができるようになると
低学年の子に教えてくれます。
異学年との交流の良さが出ます。
1年生にはむずかしい作業ですが、
できないからやらないのではなく、機会があるときにやってみる。
レッスン時にうまくできなかった子が
おうちに帰ってお母さんと何度も練習したそうで、
翌週のレッスン時に手垢で真っ黒になった糸を見せてくれました。
●5・6回目「布をぬって、立体型にする」
いよいよお手玉つくり。

名札の針を通すように、布をすくって抜くんだよ。
針目をそろえて、あんまり大きいと中身が出ちゃうよ。

男の子だって、お裁縫できないとね。

しーんとしています。
だって、みんな真剣なんですもの。

ひとり3個、最後の縫い絞りが難しく、
低学年の子は少し先生の手を借りながら、
みんな上手に仕上げることができました。
●7回目「お手玉遊び」
講師は昭和の小学生ですが、
お手玉遊びを知りません…。
なので、子どもたちで「平成のお手玉遊び」を研究します。

ちゅうりっぷの歌に合わせてお手玉をお隣さんに送ります。
これがなかなかうまくいかない(笑)
リズム感?運動神経?なぜか順番にお手玉が渡らないのです!

右回り、左回り、なんども練習するうちにだんだんと息があってきました。
このあと、お手玉2つを両手で投げて回す練習をしました。
「おばあちゃんが3つできる!」と得意げに話してくれる子がいます。
どうやればうまくできるのか、コツをおしえてもらったら先生にも教えてね。

2か月かけて作ったお手玉。
買えば簡単に手に入るものですが、
あれこれ試行錯誤して仕上げたものは
きっと一生の宝物になることでしょう。
みんなよく頑張りました!!*^-^*
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